厚生労働省が発表した令和4年の調査によると、613,958人の障がい者が民間企業に雇用されて働いています。障がい者の特性を理解し、戦力としている企業がある一方、「法的義務だから」「法定雇用率を達成しておかないと障害者雇用納付金を払う必要があるから」と後ろ向きな理由で障がい者雇用を行っている企業も存在します。
障がい者雇用には多くのメリットがあります。ぜひメリットを理解して、積極的に障がい者雇用に取り組んでみてください。
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職場に多様性が生まれ、働きやすい環境が整う
障がいといっても人によって特性はさまざまです。障がいの特性や強みを理解し、適切な職務配置、業務分担を行えば、障がい者は戦力になります。最近はIT技術の進化やテレワークの推進により、障がい者が担える仕事の幅が大きく広がりました。
誰にでも能力に凸凹はあり、発達障がいを含む精神障がい者はその差が特に顕著です。しかし、秀でた部分に注目することで一般雇用よりも戦力になる人材を確保できるケースもあります。
たとえば、新しい環境や業務に慣れるまでに長い時間がかかるけれど、慣れたら一つのことに集中して長時間取り組める、仕事はゆっくりだが丁寧でミスがない、勤怠が安定しており確実に仕事をこなしてくれるなど、既に障がい者雇用を行っている企業は、特性にあった仕事を割り振ることで成功を収めています。
障がいの有無に関わらず、能力や個性は人それぞれであり、お互いの強みを活かしながら協力しあうことが本来の姿です。障がい者が加わることで互いの違いを認識し、助け合おうという雰囲気が醸成され、思いやりの心や協力体制が強化されていきます。結果として、心理的安全性の高い職場が完成していきます。
また、上司も多様性がある人が一緒に働いているという認識が強くなるため、管理職のマネジメント力が高まるというメリットもあります。
業務の効率化・最適化が実現できる
障がい者と一緒に働く場合、特性に合わせて職場環境や業務内容を見直すことが必要になります。業務の棚卸を行うことで、属人化されていた仕事が誰にでもできるようにマニュアルが整備される、非効率的な作業方法が見直される、無駄な仕事が洗い出させるなどのメリットがあります。
また、障がい者ができる仕事を切り分ける場合、今まで仕事を抱えていた人の負担軽減にもつながります。多くの場合、ルーティンワークが切り分けられますが、その結果、健常者の社員は創造的な業務に取り組む時間を確保できるようになるため、企業としての成長につながっていきます。
障がい者雇用を進めると、部署や会社全体の業務の最適化、効率化、創造性の向上まで実現できます。
障がい者雇用による助成金を受け取れる
障がい者を雇用する場合、スロープや手すりを付ける、車椅子でも使用できるトイレを整備する、障がいの特性を理解したジョブコーチを付けるなど、受け入れ準備に費用がかかることがあります。そのため、国は障がい者雇用を行う企業に対し、助成金を支給しています。
たとえば、ハローワークなどの紹介により障がい者を継続して雇用すると支給される「特定求職者雇用開発助成金」、障がい者をトライアルで受け入れる場合に支給される「トライアル雇用助成金」などがあります。
職場の整備、必要な介助や通勤を容易にするための措置などを講じた場合、その費用の一部も助成されます。ICTを利用した事例でも「障害者介助等助成金」の支給対象となります。たとえば、聴覚障がい者が会議に出席する場合に遠隔手話通訳サービスを利用する、視覚障がい者に向けて遠隔の介助者が文書の作成や読み上げを行う設備を整えた場合などが挙げられます。
また、法人税や事業所税の優遇措置も受けられます。助成対象になるかは、ハローワークで確認ができます。
企業のイメージアップにつながる
障害者雇用率が大幅に基準を下回った場合、障害者雇用計画書の作成命令が出されます。作成しても状況が全く変わらない場合、社名が公表されます。ダイバーシティが重視される今、障がい者雇用を推進していない企業として社名を公表されるのは、イメージダウンにつながります。
つまり、障がい者雇用を推進していると、社会的責任(CSR)を果たしている企業と評価されるということです。今は環境問題への取組、地域貢献、女性登用などと同様に、障がい者雇用もコンプライアンスにかかるかる重要な事項であり、真剣に取り組む必要があります。ダイバーシティの取り組みに秀でている企業は売上、純利益が高く、株主への利回りも高いという調査結果も出ています。
「何から始めたらいいかわからない」なら障がい者雇用コンサルタントに相談を
障がい者雇用は、社内外にとってメリットが大きい取り組みであり、地域のハローワークや就労移行支援事業所・定着支援事業所との連携も欠かせません。ただ、どのような仕事なら任せられるのか、どのように職場環境を整えたらいいかなど、わからないことだらけでしょう。
その場合は、障がい者雇用コンサルタントにご相談ください。あなたの会社の状況をヒアリングして、障がい者に任せる作業や指導法の提案、定着支援、受け入れ体制準備など、障がい者雇用全般についてアドバイスいたします。まずはお気軽にご相談ください。