障がい者の採用数を増やしたい、障がい者を定着させて戦力にしたい、法定雇用率を達成したいなど、障がい者雇用に関して悩みや課題を感じている管理者も多いでしょう。障がい者採用には、設備の改修、指導体制の準備、社内への説明など、さまざまな準備が必要ですが、大きなメリットもあります。
専門的な知識やスキルがないとちょっと難しいと感じるかもしれない障がい者雇用ですが、障がい者雇用コンサルタントの力を借りながら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
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障がい者雇用の現状と課題
厚生労働省が令和4年に発表した調査によると、613,958人が民間企業に雇用されて働いています。この数は前年より16,172人増加しており、19年連続で障がい者雇用数は過去最高を記録しました。障がい別にみると、知的障がい者と精神障がい者の雇用数が大幅に増加しています。
国は障がい者雇用を推進するため、各事業者に一定の割合以上、障がい者を雇用することを法律で義務付けています。その割合を法定雇用率と言い、43.5人以上規模の民間企業の法定雇用率は2.3%です。常用労働者の総数が100人を超える企業が法定雇用率を達成できない場合、納付金を収める必要があります。
民間企業で働く障がい者が増えているものの、法定雇用率を達成できているのは主に大企業であり、中小企業では未達成が多い傾向です。
中小企業の障がい者雇用が進まない理由と課題
なぜ、中小企業では障がい者雇用が進まないのでしょうか。主な原因は次の2点です。
・受け入れ準備の負担が大きい
たとえば、車椅子利用者が働けるよう設備の改修をする場合、コストが発生します。また、障がい者の特性に合わせた指導法を身につけたジョブコーチを雇う必要もあるでしょう。
コストの面では助成金の利用が可能なほか、地域の支援機関に相談すればジョブコーチの依頼もできます。まずはハローワーク等に相談してみてください。
・障がい者の特性にあった仕事を用意できない
健常者の仕事をそのまま引き継げるとは限りません。障がい者の特性に合わせた仕事を用意するために、部署や社内全体で業務の棚卸や見直しが必要になります。中小企業の場合、仕事を切り分けても障がい者1人を雇うほどの業務量にならないこともあります。
しかし、障がい者の個性や特性はさまざまです。特に知的障がい者の仕事というと、掃除や軽作業がイメージされますが、お客様と関わる仕事やコミュニケーションや判断が必要な仕事に対応できる人もいます。一般的な障がい者のイメージにとらわれることなく、業務内容を考えてみてください。
障がい者雇用のメリット
多様性が重視されている現在、障がい者雇用を促進することは社会的責(CSR)を果たしている企業と評価につながり、企業のイメージアップになります。同時に、さまざまな価値観の人たちが意見を交わすことで、創造力が増し企業の競争力も高まっていきます。
障がい者と一緒に働く場合、職場環境や業務内容の見直しが必要です。その結果、マニュアルが整備され属人的な仕事が減った、ルーティンワークを障がい者に依頼することで創造的な業務に取り組める時間が増えたなど、業務の効率化も進みます。
障がい者雇用を推進していく上で大切なこと
いきなり障がい者雇用を始めると、社内から反発もあるでしょうし、障がい者のミスマッチも多く発生します。専門機関のサポートを得ながら、少しずつ進めていくことが成功の秘訣です。
まずは社内での理解を深めることから始めましょう。障がい者と一緒に働いたことがない従業員は、わからない、不安といった負のイメージが強いものです。障がい者雇用を進めることで、指導などの負担が増えるのではなく、業務の効率化が進み企業の発展につながるというメリットを管理職が丁寧に伝えます。
障がい者雇用に関しては、ハローワークを始めとする支援機関を積極的に活用しましょう。専門的な知識がある人のアドバイスを受けることで、ミスマッチを防ぐことができ、定着率も高くなるため、障がい者・企業双方の満足度も高まります。
障がい者雇用推進に向けてのステップ
求人票の作成、面接・選考といった流れは一般的な採用と大差はありませんが、障がい者雇用ならではの注意が必要です。
たとえば、面接ではゆっくりと話す、理解しやすいようシンプルな質問にするといった合理的配慮が求められます。求人は「障がい者採用」と明記してハローワークや自社サイト掲出するほか、就労移行支援事業所、特別支援学校、障がい者向けの転職エージェントなどに出すと効果的です。求人票には、障がいに配慮した作業量、勤務時間、納期といった業務の詳細を記入。負担軽減のために時短勤務や在宅勤務が可能、口頭ではなくマニュアルでの指示を徹底するなど合理的な配慮があることを伝えるとよいでしょう。
障がい者雇用コンサルタントにお気軽にご相談ください
障がい者雇用に関して何から始めたらよいかわからない、自社の業務の中で障がい者にお願いできるものはあるかなど、不安や課題がある方は、お気軽に障がい者雇用コンサルタントにご相談ください。状況を丁寧にヒアリングしてから、最適なアドバイスをいたします。