障がい者支援現場でのコーチング活用事例をご紹介

障がい者支援の現場でコーチングってどうやって活用できるの?
そんな声を聞く機会が最近特に増えてきました。
ここでは具体的に活用事例をご紹介いたします。
活用事例ケース1
知的障がい者には難しいとされていた社内派遣でも仕事ができるようになった
・そもそも、なんで働きたかったの?
・社会人になって周りの人はなんて言ってくれる?
・3年後はどうなっていたい?
・これからどんなことにチャレンジしてみたい?
このような質問をしていく中で、他部署でも仕事をしてみたいと話してくれました。
(障がい者は、特定な部署で仕事をするケースが大半)
なぜ社内派遣としてで働きたいのか聞いてみると、かっこいいからとのこと。
社内派遣として働ければ、仕事がどんどん広がっていきます。
まずは、トライアルから始めました。
一生懸命がんばり、支援員もいない中、直行直帰で、仕事ができるようになりました。
本人が、やりたいと言う意思を尊重した結果、できるようになった好事例といえます。
コーチングのポイントとしては、100%答えは相手の中にあると言うことにつきます。
活用事例ケース2
自閉症のメンバーが人前でプレゼンできるようになった

1人ぶつぶつ独り言を言いながら、オフィスの周りは歩いているメンバーがいます。
朝礼は、当番制にして、メンバーにやってもらうようにしていますが、このメンバーだけ避けてやろうとしませんでした。
普通なら、自閉症なので合理的配慮から、させなくてもいいかなと思いますが、それでは、いつまでたってもできるようにならないため、次のような質問をしました。
自閉症だから無理だと勝手な判断はせず、本人の意思を尊重し、できるようになった事例です。
この事例は、相手の感情に寄り添った質問から始まりました。
活用事例ケース3
支援員スタッフの面談が改善された依存傾向から脱却
この支援員は、熱心なのは良いのですが、障がい者との面談に2時間以上費やし、場合によっては、職場の近くのファミレスで2時間近く面談したりしていました。
本人は、私が何とかしなければと言う熱い思いは良いのですが、これはどうかなぁと思いました。
そこで、この支援員にコーチングを使って話しをしました。
あなたは、どのような思いから支援をしているのですか?
どのような支援が理想的だと思いますか?
何とかしてあげたいと思う気持ちは大切ですが、今の支援はどう思いますか?
支援されている障がい者の方はあなたはどのように思っているでしょうか?
他の障がい者からは長い時間面談をしているあなたを見てどのように思うでしょうか?
もしあなたが人事異動で職場を異動することになったら、今支援している障がい者はどうなるでしょうか?
ようやく本人は気づいたようで、面談時間も事前に決めて臨むようになりました。
コーチングのポイントとしては、提案やアドバイスをせず、相手に考えさせることにあります。
活用事例4
知的障がい者がPDCAを回しながら、次々と目標を達成するようになった
PDCAを回すなんて、知的障がい者には難しいのではないかと周囲から言われていました。
それは、自分で計画をして、それを達成するためにプロセスを考え、途中チェックを入れながら行動を起こすことが必要だからです。
確かにはじめのうちは、目標を達成させるためのプロセス(方法)を考えるの手間取ったりしましたが、1年かけてじっくり取り組んだ結果、素晴らしいプロセスを考えられるようになりました。
特に、障がい者は、プロセスで考えた方法を、一つ一つチェックをするのが好きな人も多いので、やり方次第で上手くいくのです。
コーチングマインドとは、100%相手を信じきって関わっていくことです。
これがないと、方法論だけやってもうまく成果は出ません。
可能性を信じ切って、一年じっくり関わる覚悟が必要です。
コーチングマインドは、とても重要です。
活用事例5
電話応対が難しいとされている発達障がい者が、内線、外線とも電話対応ができるようになった。
配属先の現場マネージャーは、ミスの多い発達障がい者に手をこまねいていた。
そこで、人事担当者が、コーチングの質問を使って面談を行った。
人事担当者:どのような仕事ぶりをしたいですか?
本人:仕事場を任されるようになりたい。
人事担当者:では、どうしたらいいと思いますか?
本人:信頼されなければならないと思います。
人事担当者:そのためには何をしなければならないと思いますか?
本人:少しでもミスを減らさなければならない。
人事担当者:ミスを減らすためには何をしたらいいと思いますか?
本人:わかりません。
人事担当者:それでは、どんなときにミスをしてしまうかわかったらどう思いますか?
本人:願ってもないことです。
人事担当者:それでは、原因を突き止めましょう。
本人:はい。
そこで、約3週間預かり、どこでミスをするのか記録をつけながら突き止め、ミスが生じる前に、確認を行うことで劇的にミスが減るようになりました。
これを見た現場マネージャーは、やり方次第ではミスが減るのだと気づかされ、そこから、本人との接し方が変わりました。
電話対応もして貢献したいとの事から、現場マネージャー自ら、OJTを行い、今では内線、外線とも、電話対応ができるようになりました。
コーチングポイントは、答えは相手の中にあるです。
改善策を提示するのではなく、何をしなければならないかを、本人に考えてもらうことです。
本人が考えたことは、自ら行動に移しやすいと言うことです。